良い会社とは?働きやすさと社会に存在する意義を考える
従業員が働きやすい良い会社とは、具体的にどのような運営を行っているのでしょうか。
以上の素朴な疑問を元に、良い会社に見られる条件を定義し、考察しました。
良い会社には働きやすい環境と、より経営者やリーダーに恵まれています。良い労働環境が整っていても、理解あるリーダーの元でなければ、制度としてうまく機能することはないでしょう。
本記事では、良い会社が持つ理念や労働環境、リーダーについて、詳細を説明しています。組織運営の解決策を模索している方は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
良い会社とは?一般的な定義を考察
良い会社を社会通念上の定義で考察すると、最低限以下の要件を満たしている会社、ということになります。
- 収益性を確保し、事業継続ができる
- 従業員が安心して就労できる
- 社会との接点をもち、社会貢献を意識している
以上の3点のうち、一つでも欠けていると良い会社とは言えないでしょう。社会の公器として機能している会社を良い会社と呼ぶことができます。
社会に企業として存在する以上、良い会社として運営が出来ていない企業は早い段階で、良い会社となれるように努力しなければいけません。
良い会社になるための条件とは
良い会社になるための基本的な条件を、以下5点ピックアップしました。
時代の変化に対応できる柔軟性を持っている
事業継続には、激しい変化に対応する柔軟性が求められます。昨今では、以前に比べてよりビジネス環境の変化は激しくなっています。
状況に合わせて、適切な判断を下すには、いつもそれなりの緊張感を持ちつつ、変化に対応する意識を持つことが大切です。
何らかの行動変化を起こす時は、新たな学習が必要です。学習能力の高さも、より良い企業運営を目指すためには欠かせない資質とも言えます。
過去には、大きな売上をあげつつも没落していった会社もあります。なぜ駄目になってしまったのか、教訓として分析してみてはいかがでしょうか。
顧客目線を持っている
トレンドの波は、以前に比べるとより短期間になり、ダイナミックさも持って移ろうようになりました。去年の流行を即答出来る人はどの程度いるのでしょうか。
最新のトレンドを把握し、ピンポイントな訴求を行うには、顧客目線の思考は欠かせません。求められている本質を探し当てることができれば、サービスや商品開発の軸はおのずから定まってくるでしょう。
一度成功した事業は繰り返したくなりますが、過去に大きな売上を上げた商品やサービスがいつまで続くのか、誰にも分かりません。
時代の変化とともに顧客のニーズと合わなくなっていると判断できれば、すぐに切り捨てて転向する判断力も大切です。
人を活かし、自主性と起業家精神がある
良い会社には活気があります。従業員自ら動き、新しいことへ挑戦していく向上心は、活気がある会社でなければ生まれません。
起業家精神というと大げさにも思えますが、会社のおかれた状況を自分ごととして捉え、自分ならどう行動するか?と考える従業員が多いと、あらゆる変革に対応できる強い会社として存在し続けることも可能です。
起業家精神を持つ社員が多いと、自分で会社を興したくなる人材が増えるため、前向きな退職が増加しがちですが、その分やる気に満ちた人材を採用できるようになるため、よい好循環が生まれます。
結果として風通しよく、常に若い精神に溢れた会社を作り上げることにもつながり、会社そのものの寿命も長くなります。
中長期ビジョンが明確
明確な中長期ビジョンは、健全な会社運営を考える上でなくてはならないものです。
中長期ビジョンは、最終目標とする大きなゴールに対する達成率の把握やズレの修正を行う際の重要な指針です。
また、中間ゴール地点としても機能し、道標となってくれるでしょう。
何に向かって仕事をしているのか、明確になるだけでも、モチベーションの維持につながります。
社員同士で同じ目標を共有出来る点も見逃せないポイントです。会社全体で同じ目標に向かうエネルギーは、会社の活気にも繋がります。
社会貢献を理念に掲げている
企業と社会貢献というワードが並ぶと、絵空事のように思えますが、企業と社会貢献には密接な繋がりがあります。
企業は社会をプラットフォームとして利用しないと利益を上げることはできません。大きな企業になればなるほど、利益を上げると共に、社会とどう共存していくのか、真剣に考える必要があります。利益のみを追求し、社会貢献を全く顧みない組織は企業というより、盗賊の集まりに近いかもしれません。
社会に対してどのように存在し、何をもたらしていくのか、明確に示されている会社は良い会社といっても良いでしょう。
良い会社に見る優れたリーダー
良い会社には必ずといっていいほど、優れたリーダーが存在します。チーム全体で成果を上げるリーダーは具体的に、どのような資質を持っているのでしょうか。
優れたリーダーが持つ資質を以下に分析しました。
決断の早さ
決断の早さは、優れたリーダーが持つ共通の資質であるといっても過言ではありません。多少の差はあれど、課題を確認した時点で大まかな結論はすでに出ている、という具合です。
決断の早さは、現状認識が常に更新されており、最新の状態を常に把握しているためです。
雑な決断でも早ければ良いというわけでなく、最新の情報をもとに最適な決断を迅速に下しているところがポイントです。
決定を下すことはリーダーの重要な仕事です。リーダーは他の雑務を差し置いてでも、決断を優先するべきでしょう。
データが整理できていないと即決は難しいかもしれませんが、優柔不断に陥ることだけは避けましょう。
決断後の行動が早い
一度決断した後の行動のスピードも優れたリーダーに見られる資質です。経営層になればなるほど、行動の早さは顕著に現れます。
ビジネスチャンスは、確実に掴まなければ次のチャンスはいつ訪れるかわかりません。経営者の行動の早さは会社を運営していく上で、自然と身についたものでもあります。
ビジネスを軌道に乗せて成功させるためには、先行者利益の獲得は重要課題の一つです。先に事業をスタートさせた、という事実はなによりの他社との差別化になります。
ビジネスの嗅覚とともに、行動の早さはぜひとも身につけておきたい資質です。
できる方法を考える
良いリーダーは常に実現の可能性を考えています。出来ないとつい言い訳を考えてしまいがちですが、良いリーダーの出来る可能性を考える点に根本的な思考の違いがあります。
元々人間の思考は、ある程度のことが達成できた後は、守りに入るように形成されています。言い訳は自己保身の最たるものでしょう。
自ら道を切り開いていく立場のリーダーは、守りに入るとジリ貧になることを知っています。
どうすると道をきりひらくことができるのか、常に思いを張り巡らし、時としてチームのメンバーにも良い影響を与えながら邁進していきます。
諦めの早さ
実現の可能性を模索すると同時に、諦めの早さも良いリーダーに見られる資質です。チャレンジをしていないのに諦めるのではなく、経験やデータ分析に基づいた判断が早いということです。
諦めの早さは、前述の決断の早さに通じるところがあります。成功の可能性が低いことへいつまでも注力していると、他に取り組むべき重要な課題がおざなりになってしまい、業務に支障をきたすことになるでしょう。
経営にたずさわるリーダーの場合、ビジネスチャンスを逃してしまうことにもなりかねません。
現時点で優先すべきことを都度判断できる能力は、リーダーには欠かせない資質です。
数字への強さ
数字に強いことは、決断の早さにもつながる大切な資質です。損得勘定を暗算でできれば、大事な決断も即座にできます。
経営者であれば経営に関する数字を常に把握し、頭の中で計算できる能力が求められますが、組織内のリーダーは、成果に関する数値とチームメンバーを関連付けて行う、適材適所な指導に活かされます。
あらゆることを数値化して、可視化を進めるときにも数字への親和性は求められるでしょう。
新しい知識や技術を積極的に取り入れる
組織運営に活用できる新しい考え方やツールがあれば、柔軟に取り入れる積極性が求められます。
業種にもよりますが、あたらしいトレンドを把握し、実際に導入する試みはとても大切です。
他の人の力を使う
組織運営が大きくなればなるほど、多くの人の力が必要です。良いリーダーは、自分の力に限度があることをよく理解しており、積極的に人の力を使います。
人の力を借りるには、大義名分かリーダーその人自身の魅力が必要です。多くの人を巻き込みながら組織を動かしていけるのは、理想的なリーダー像といっても良いでしょう。
風通しが良く働きやすい組織づくりのポイント
これまでのリーダー論も交えつつ、働きやすく良い会社とはどのような環境整備がなされているのか、詳細を紹介します。
求められるリーダー像
明確な決定
社員を動かしている人は経営者であり、根本となる方針が決まっていなければ社員は動きません。経営者にはその都度決断力が求められます。
昨今では、多くの業種で商品、サービスのコモディティ化が進んでおり、早い意思決定による先行優位の獲得は、ビジネスの至上命題ということもできます。
経営者ならびに、組織のリーダーに求められるものは明確な決断と、意思決定の早さです。スピード感の共有は会社全体で求められる重要要素となっています。
感情をあらわにしない
感情の起伏は冷静で正しい判断の妨げになります。意思決定を主な仕事とする組織のリーダーは感情に支配されてはいけません。
ビジネスの現場において、取引先に感情移入し、すり寄ったり離れたりを繰り返すようでは、会社として公正な取引を継続することは到底できないでしょう。
また、組織のリーダーが感情的に怒ったりすると、部下は怒られないように仕事をする方法ばかり模索してしまい、本末転倒な結果になってしまいます。
柔軟な思考とバランス感覚
過去の成功にとらわれていると、一定の価値観に固執するようになり、考え方に柔軟性がなくなってしまいます。
どんな事が起きても柔軟に対応できるように、揺るぎない信念とともに、柔軟な思考を持ち合わせておくことも大切です。
柔軟な思考は、組織の運営や人の指導の際にも必要な能力です。一つの価値観に固執しているようでは、多くの人の考え方を理解するのは難しいでしょう。
労働環境
ハラスメントを許容しない姿勢
様々なハラスメントが報告されるにつれて、ハラスメントの基本概要は広く社会へ浸透するようになりました。ハラスメントの報告件数が上昇している要因は、認知が進んでいる裏付けでもあります。
しかし、ハラスメントの概要を理解していない人からの報告は、単なる一方的な権利の主張にとどまっているケースも多々あるため、注意が必要です。
ハラスメントを許さない姿勢とともに、ハラスメントとは何か?基本的な概念の社内共有も必要です。
明確な人事制度
信賞必罰が明らかにされていないと、従業員は労働意欲を失ってしまうでしょう。
営業のように目に見える明確な成績があれば、有無を言わさぬ評価査定ができますが、定性評価が必要な業種では、働く従業員が納得行く評価制度の策定が必要です。
定性評価は誤解が生まれやすい側面もありますので、慎重な制度化を進める必要があります。
生産性を重視し、ムダな長時間労働を強いない
生産性を考えずに、残業が常態化しているようでは、いつになっても良い会社と認識されることはないでしょう。
少子高齢化がより進む昨今では、以前のような人海戦術で業務を進める方法は取れなくなります。一人ひとりがより効率よく、生産性を高められるかにかかっているといっても過言ではありません。
会社の存続という点でも、生産性の重視と適正な労働時間の管理はとても重要なポイントです。
福利厚生の充実
福利厚生は、給料や賞与などの基本的な待遇の他に、社員が働きやすい環境を整えるために提供される報酬です。
良い会社は、従業員への日々の労働に対して感謝の念をもっています。したがって、おのずから福利厚生が充実しています。
福利厚生の内容は業種によってさまざまですが、福利厚生サービスを提供する外部の会社を、うまく活用する方法もあります。
多様性への理解
働きやすい環境を作り、良い会社と認識されるためには、多様性への理解は必要です。従業員はさまざまな立場や環境と、それぞれの考え方で仕事に取り組んでいる事実をよく認識しておきましょう。
性選択や働き方、ライフスタイルなどの価値観、など幅広く理解しているつもりであっても、いざ直面すると、思うように共感できないこともあります。
多様性についての認識は定期的に更新し、つねに最新の考え方を維持できるようにしておきましょう。
働きやすい環境への取組事例
有名企業が行っている働きやすい環境への取り組み事例を紹介します。
一定の成果を挙げている事例なので、真似できそうな点は取り入れてみてはいかがでしょうか。
世界最高峰のIT企業とも言えるGoogleでは、業務時間の20%を自分が好きな研究などやりたいことに割り当てても良い、という20%ルールを設けています。
具体的には誰かの管理下におかれない自由な時間を獲得できる、という意味合いで設けられています。
20%ルールは、新しい発想は完全に自由な時間からしか生まれない、という考え方に基づいています。20%ルールから劇的なイノベーションが生まれた事はありませんが、新しいプロジェクトのプロトタイプ作成の一助となっているようです。
自分の研究を進めたいIT人材にとって、Googleのような会社はとても魅力的に見えることでしょう。
ソフトバンク株式会社
ソフトバンク株式会社では、在宅勤務に力を入れています。副業の解禁など、新しい働き方の導入に積極的です。
ソフトバンクが導入したルールの中でも、特に目を引くのはスーパーフレックスタイム制度です。スーパーフレックスタイムには、普通のフレックスタイムに存在するコアタイムの概念がありません。業務の状況次第で自由に始業時間と就業時間を決めることができます。
個々のライフスタイルを尊重する働き方は、出来る範囲で参考にしたい事例です。
花王株式会社
化学製品大手の花王では、女性が働きやすい職場づくりに長年取り組んできました。2006年に国が育児に関する働き方改革の高層を打ち出す前から、社員に対する育児のサポートを行っています。
育児休暇制度は満1歳の4月末までとなっており、法律で定められた期間よりも長く設定されています。
また、女性社員の育児休暇取得率は100%です。男性も3人に1人は育児休暇を取得しています。時短勤務も1日4時間、週3日と柔軟性を持った制度をしいています。
女性にとって働きやすい会社のお手本ともいうべき姿勢を見せています。
まとめ
良い会社には、整備された労働環境と組織を滞りなく動かす優れたリーダーが必要です。
どんなに良い労働環境が整えられていても、理解あるリーダーがいなければ絵に描いた餅に終わってしまいます。
良い会社を作り上げるには、リーダーの育成と労働環境の整備を両輪で推進したいところです。
良い会社には優秀な人材が集まり、高い競争力をもつようになります。時間はかかりますが土台作りから少しづつ積み上げていきましょう。