一人ひとりの意識改革と能力アップで組織力を強化しよう!
環境の変化が激しい昨今、直近では過去に例を見ないほどの物価高やエネルギー資源の高騰に見舞われています。物価やエネルギー資源の高騰は、家計のみならず企業にも広く影響を及ぼしています。
多くの企業は耐え難い状況に置かれていますが、あらゆる外的要因に立ち向かうことができる強い組織は、人材育成なくしてはありえません。リーダーシップを発揮できる人材をいかに輩出できるか?というポイントは今後、企業が環境変化に対応していくために求められる重要項目です。
また、従業員一人ひとりのコスト意識は、意味のある行動につながります。
本記事では、組織の中核をなすリーダーシップと、スリムな企業運営に欠かせないコストを意識した視点について紹介しています。
人材育成について、思う所のある担当者の方はぜひ記事内容をご確認ください。
目次
自ら行動を起こすリーダーシップ意識とは?
初級管理者や中級管理者に求められる重要スキルはリーダーシップです。部下や後輩に対して、自らの行動を持ってあるべき姿を示すリーダーシップは、成果の最大化と組織戦略には欠かせません。どのような規模の組織であっても、軸となる人材は必要です。
リーダーシップにはさまざまな見方がありますが、組織におけるリーダーシップは主に以下の4つに定義されます。
- 組織の事業戦略に基づいて、複数のチーム目標を策定
- 目標達成に向けた具体的な戦略の立案
- 目標達成に向けて部下や後輩のモチベーションを管理し、スキル向上を支援する
- 目標達成に向けた現場レベルの課題解決を推し進める
リーダーシップとは、企業の中核となり、預かったチームを目標達成へと導く原動力です。日本においては、責任をもって組織を牽引するリーダー役が嫌われています。
国民性を鑑みると有力なリーダーが生まれにくい背景がありますが、それを差し置いてでも、リーダーシップの在り方や捉え方を人事や育成担当者が十分に認識することが重要です。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップとマネジメントは似ているようでいて、実は異なるスキルです。
リーダーシップはマネジメントと比較して、より現場に近く、部下や後輩を直接牽引しながらチームを目標達成へ導く働きをします。
細かい指導をしながら人材育成を担うというよりは、行動をもってチームを牽引していく役割と考えるべきでしょう。
マネジメントは、与えられた権限と責任の範囲内で、組織のルールや制度を使いながらチームのパフォーマンスを最大化するように支援する働きを指します。
個々のおかれた状況やポテンシャルを把握し、適材適所でうまく人材を扱う仕事です。
担当領域に違いはあるものの、現場ではリーダーがマネジメント職を兼ねているプレイングマネージャーとなっているケースもよく見られます。
基本的には、管理者が部下とどのような関わり方をしているのか?という点において解釈することが重要です。
リーダーシップを発揮するための4つのスキル
以前よりリーダーシップを発揮できる人は、先天的な才能がある人のみ、という考え方が大勢を占めていました。
しかし、組織では偉大なリーダシップを持つ人材を求めているわけではありません。
実際の現場では、状況の変化に柔軟に対応しつつ、置かれた環境で成果を発揮できる汎用性の高い人材が求められます。
一代で大きな会社を作り上げたカリスマ創業者のような、偉大な能力を持つ人材の出廬を待っていられません。
ポイントはどうすれば優れたリーダーになれるか?という育成の考え方です。
優れた資質を持つ人材を探してくるのではなく、自社内でいかに育てるか、という点にフォーカスされるようになりました。
リーダーシップを身につけるには、ビジョン、コミニケーション、チームビルディング、意思決定の4つのスキルを意識しつつ、高めていくことが重要です。
4つのスキルは、日々の業務の中で、チームメンバーと協力し、一つの目標を達成する経験を積み上げていく中で醸成されます。
スキルを積み上げてさらに磨き上げるには、意識を持った行動も欠かせません。
前述のリーダーシップ4つの定義に対応するスキルとなり、優れたリーダを目指すための必須項目とも言えます。
- ビジョンビジョンとはありたい姿・状態、ゴールのことです。自分自身のみならず、チームメンバー一人ひとりに期待されていることを明確化し、目標への意識を高めます。全体の目標だけでは漠然としてしまい、当事者意識を持ちにくくなりますが、個々に期待されていることを正しく伝えることでより強固な目的意識をもたせることが可能です。ゴールが明確になり、自分に期待されることがはっきりと分かるとモチベーションアップにも繋がります。
- コミュニケーションビジョンを明確に伝えるためのコミュニケーション能力がなければ、絵に描いた餅となってしまい、絵空事のままビジョンは宙に浮いてしまうでしょう。ビジネスにおけるコミュニケーションは伝えるではなく、伝わるです。伝えても相手が明確に理解してくれないと意味がありません。相手の視点で物事を考え、適切な表現で伝達するコミュニケーション能力を身に着けましょう。正しく伝わることを目指すには、相手の目線でわかりやすい具体例などを挙げて、ピンポイントに伝えることが重要です。
- チームビルディングビジョンを明らかにし、メンバーの役割の明確化、コミュニケーションの促進による風通しの良い組織を作り上げる力がチームビルディングです。ビジョンとコミュニケーションの確立の先に見えてくるものが、強固なチームビルディングといっても良いでしょう。チームビルディングには、リーダーの人間性によるところが大きくなります。後述するインフォーマルリーダーシップとチームビルディングは、密接な関わりがあります。
- 意思決定リーダーには、メンバーの育成や評価、部門間での調整など多種多様な判断が求められます。リーダーの判断が組織の活動や行動に影響を与えるため、常に情報収集を怠らず、バランス間隔を持った視点にて、最適な意思決定を下す必要があります。意思決定の際に、自分ひとりで決めるか、他の人の意見を参考にするかは賛否が分かれるところです。強いリーダーシップを発揮したい場合は自分だけで決めるほうが良いでしょう。他の人の意見を取り入れる場合、相談する相手の選び方には注意が必要です。
インフォーマルリーダーシップ
船頭多くして船山に登るということわざにもあるように、日本では古くからリーダーはできるだけ少ない方が良いとされてきました。強烈なカリスマ性をもつ創業社長のリーダーシップによって、大きな成長を遂げた企業の成功事例がよりリーダー少数論に拍車をかけています。
組織の権限を最大限活用しつつリーダーとして振る舞うことをフォーマルリーダーシップと呼ぶことに対して、インフォーマルリーダーシップは、人徳や説得力によって自然とリーダーに推挙されることをいいます。
かつて良いとされてきたフォーマルリーダーシップだけでは、価値観の多様化やグローバル化、サービスのコモデティ化によって、アイデアの質や量が太刀打ちできなくなっています。強力なマンパワーに依存する時代は終わりを迎えました。
近年では、出来るだけ多くのインフォーマルリーダーシップを発揮できる社員が率先して現場を渡り歩き、自発的に機能する組織が求められるようになっています。
基本的なマインドセットがポイント
前述のとおり、リーダーに求められる資質は、その時代や環境によって大きく変化します。
また、業態やトレンドによっても変化するため、社内でリーダーシップを育むには、自社の風土にあったリーダー像の設定が必要です。
どのようなリーダーシップが必要なのか、事前にしっかりと把握の上、育成方法や研修内容を検討しましょう。
行動の習慣化
前述の4つのスキルを高めるには、知識だけでなく実践が必要です。行動にともないリーダーシップにふさわしいマインドセットを獲得できるようになります。新しい取り組みは、失敗や成功を合わせた多様な気づきを得ます。
知識をインプットできるリーダーシップ研修の活用は、初期の意識付けに最適です。
実践の後は、自分のリーダーシップについて強みや弱みを客観的に評価しつつ、改善を繰り返していくと良いでしょう。
社員一人ひとりのコスト意識を高めるには
先頭に立って道を切り開くリーダーシップは頼もしいものですが、同時に全体を俯瞰的に見ることができる冷静な視点も大切です。
中でもコスト意識は企業運営に欠かせない視点です。経営層のみならず、現場の社員一人ひとりがコスト意識を持つと、極めて合理的な組織運営が可能になります。
記事後半では、社員それぞれがコスト意識を持つためにはどうしたらよいのか、というポイントを紹介します。
コスト意識を高める目的
会社の利益を上げるには、社員一人ひとりによるコスト意識の向上が大切です。なぜ、コスト意識を高めたほうが良いのか、具体的な目的を紹介します。
最終的に会社の利益につながる
会社は売上によって得る利益で従業員の給与を支払い、次の事業への投資を行います。したがって、継続的に利益を上げ続けなければいけません。
利益は売上から得るものと考えてしまいがちですが、実際にはコストを削減することで、利益を上げることも可能です。
利益は売上-コストで算出されますので、売上と比例するようにコストが増えてしまうと、いつまでたっても利益のアップに繋がりません。
コストの割合が増えてしまうと、同じ売上金額でも利益は下がってしまいます。コスト意識をもって、削減に務めることは結果として会社の利益に結びつきます。
無理なコスト削減は避ける
コストを減らせば利益が上がるからといって、無理なコスト削減は禁物です。無理なコストカットは従業員のモチベーション低下に繋がります。事業継続に必要な経費まで削減してしまうと、売上低下にもなりかねません。
費用対効果が低いものや、安いものへ代替えがきく、大きな影響がないものなど、本当に無駄なものを見極めるコストカットを行いましょう。
直接お金に関わらない業務効率化や時短などは、残業代の削減や余計な工数をへらすなどの効果があり、結果としてコストカットへつながります。
従業員にコスト意識を伝える時に気をつけること
コスト意識は経営層のみならず、現場社員にまで浸透してこそ大きな意味を成します。
コスト意識は経営者目線が必要です。当事者意識がなければ自発的に芽生えることはありません。
社員研修において、「なぜこのコストが必要なのか」「逆にこれはなぜ不要なのか」という視点や概念を伝えましょう。コスト意識を高めるには、自ら考えて行動する力が求められます。
コスト意識を高めるには
コスト意識を高めるためのポイントを3つピックアップしました。詳細を以下に紹介します。
業務をコアとノンコアに分ける
コスト意識を高めるには、無駄な経費を見極める力が必要です。無駄なものと必要なものを分類してみましょう。
業務はコア業務とノンコア業務に分けられます。コア業務は社員自らの権限と責任をもって行うべき業務です。取引先との商談や決済、企画運営に関わる業務がコア業務です。
一方ノンコア業務は、掃除、オフィスの整理整頓、表作成、資料作成など社員自ら関わらなくともできる業務です。多くの企業では、ノンコア業務は外部発注やアルバイトへ仕事を振るケースが多く見られます。
社員がコア業務へ注力すると、業務効率アップにつながり、生産性の向上による利益率アップに結びつきます。業務の洗い出しと再分類は、残業代が発生している企業において、大きな効果が得られるでしょう。
ワークシェアリングが機能すると、企業は受け皿としてのみ機能し、実務はさまざまな人々へ発注する形にまで発展させることもできます。
無駄なコストの分析や見直し
分類した業務の中で、無駄なものを見出す訓練を行います。既存の契約は割高ではないか、同じ品質でもう少し安くできる代替案はないか、業務効率を進められる内容はないか、などあらゆる視点から考え、内容の精査を進めます。
近年、推進が見られるペーパーレス化などは、コスト削減の良いお手本です。IT化が進んでいないセクションを洗い出すだけでも、コスト削減のポイントを見出すことができます。
IT技術の進歩によって、今後はより一層コスト削減がはかどるようになるでしょう。情報のアップデートも欠かさずに行っておきましょう。
コスト削減の目標を立てる
あらゆる業務や行動に言えることですが、目標なくして実のある成果を得ることはできません。なんのためにコスト削減を行うのか、どのくらいで達成されるのか、具体的な道筋と目標が必要です。経営層のみならず、社内全体に意識を共有することで、結果として利益率のアップにつながります。
得られた成果を社内で定期的に共有することで、よりコスト意識を高めることができます。成果の共有は機会を設けて積極的に行いましょう。
コスト意識をもつメリットとデメリット
組織運営において、コスト意識の重要さは十分に認識できたと思います。多くのメリットを生み出すコストへの視点ですが、デメリットも念の為把握しておきましょう。
正しいコスト意識への視点を持つメリット
正しいコスト意識をもつことで、無駄な出費の抑制が可能です。コスト削減を推進すると予算に余裕が生まれ、新規事業や設備投資など必要なことに多くの予算を割けるようになります。
コストを正しく意識できるようになると業務効率にもよい影響が現れるため、相乗効果のメリットも得られます。
間違ったコスト意識をもつデメリット
間違った方向でコスト削減を行うデメリットは、社員のモチベーション低下です。業務に必要な経費まで削減してしまうと、業務効率は悪化し、社員一人ひとりの負担が増えてしまいます。
生産性の低下は、売上の低下にもつながるため、間違ったコスト意識は結果として売上の低下を招いてしまいます。
まとめ
あらゆる業務や行動に言えることですが、目標なくして実のある成果を得ることはできません。
なんのためにコスト削減を行うのか、どのくらいで達成されるのか、具体的な道筋と目標が必要です。経営層のみならず、社内全体に意識を共有することで、結果として利益率のアップにつながります。