【職種別例文あり】目標管理シートの書き方を解説!人材育成に活かすためのポイントとは
企業が人材育成を成功させるには、組織としての方向性を示す人材育成目標を明確化しておく必要があります。また一人ひとりの従業員にも、全体目標とリンクした個別目標を設定してもらい、全社的に目標の達成を目指していかなければなりません。
そんな人材育成上の個別目標の設定と進捗管理、達成に役立つツールの一つが「目標管理シート」です。
そこで今回は、全国に14,000社以上もの会員企業様を抱え、多用な中小企業の経営や人材育成を支援してきた日創研が、人材育成の現場で活用されることの多い「目標管理シート」とは何か、書き方のヒントや代表的な7つの職種ごとの例文と一緒に紹介していきます。
組織全体としての人材育成目標は定まったものの、部署等のチーム単位や個別での目標設定、目標管理がうまくいかないことにお悩みの経営者、人事部の方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
人材育成に役立つ「目標管理シート」とは
まずは、目標管理シートがどのようなものなのか、一般的な定義を確認していきましょう。
目標管理シートとは、組織マネジメントを行うための概念・手法の一つである目標管理制度(別名:MBO)を構築、管理するためのツールの一つです。その名称やフォーマットは企業によってさまざまですが、目標やその達成度を管理・評価するための基準、また達成までの具体的なスケジュールや行動目標、期限の他、達成期日の後にフィードバックを行うための項目が盛り込まれることが多いでしょう。
なお人材育成において目標管理シートを使う目的、また活用によって期待できる効果の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 会社や上司ではなく、社員本人が自身の目標を定めることでモチベーションが高まる
- 全体目標をベースに個別目標を考えるため、企業と個人のベクトルを合わせやすくなる
- 全体目標を個別目標に落とし込むことにより、個人が目標達成に向けて動きやすくなる
- 社員が自身の成果、目標達成度を把握しやすくなるため、自己効力感や自信につながる
- 企業や管理職の立場としては、個別目標・全体目標の進捗状況をチェックしやすくなる他、人事評価の明確な基準の一つとなる
日創研において目標管理シートに当たるものは?
なお、中小企業の人材育成や経営をサポートしている日創研では、目標管理シートという名前のシートは使用していません。ただ目標管理シートに近いものとして、以下のような項目について社員さん自らが考え、言語化することにより、上司や管理職と一緒に目標管理を推進していくための「個別目標実現シート(ビジョンシート)」の活用をおすすめしています。
- 自身の5~10年後のビジョン
- 人材としての自身の強み
- 5年後以降のビジョン達成に向けた1年以内、または3年後の具体的な目標
- 昨年度の良かったところ
- 昨年度の反省すべきところ
- 今年度、自身の強みをどう強化するか
- 今年度、昨年度の反省点をどう改善するか
- 4~7の内容と会社の方針に基づいた単年度の個人方針
- 単年度の個人方針の中から、自分育成のために特に意識すべき強化ポイントはどれか
- 単年度の個人方針、今年度の改善点や強化点について、毎月振り返りを行う など
個別目標実現シート(ビジョンシート)は、企業の全体目標を各スタッフに浸透させ、それをもとにした個人目標を明確化すること、またそれぞれの強みを個別目標・組織目標の達成に生かす方法を具体化し、上司や同僚から的確な支援を受けられるようにすることを促すためのシートです。
自社の人材育成において、個別目標の設定や管理に不安があるという場合は、日創研で活用しているシートの項目も参考にしてみてくださいね。
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目標管理シートに記入していく時のポイント
目標管理シートを記入する時は、まず具体的な個別目標(またはチーム単位の目標)を定めた後、その達成基準や期日、達成計画、手順などについて考えていくのが一般的です。
なお目標管理シートで目標を設定・管理していくポイントとしては、以下が挙げられます。
- 記入する目標は、チームや個人のビジョンと会社の人材育成目標をもとに考える
- 今後半年から1年以内の短期、また3年後までの中期的な目標をそれぞれ具体化する
- 個人の私欲だけで決めるのではなく、仲間と達成の喜びを分かち合える目標にする
- 目標の達成度を測るための基準は、進捗確認や管理がしやすいように数値で設定する
- 最終的なチーム目標、個別目標達成のための業績目標や行動目標も設定しておく
ちなみに、目標は大きく「定量的な目標」と「定性的な目標」の2つに分けることができます。
定量的な目標とは、達成度合いが客観的かつ明確に判断できる目標のことです。先ほどポイントとして挙げたような数値で進捗や達成度が把握できる目標は、定量的な目標に当たります。
一般的に目標管理シートでチームや個人の目標を設定・管理していく時は、目標達成を目指す社員本人はもちろん、一緒に進捗を管理する上司・管理職も達成度合いを把握しやすいように具体的な数値を盛り込んだ定量的な目標を設定するのが望ましいと考えられています。
対して定性的な目標とは、達成したかどうかを判断しにくい、達成基準を数値化しにくい目標のことです。特に事務職等、売り上げなどの明確な数値目標の設定が難しい部署・職種の目標として設定されることが多く、客観的に進捗状況を把握しにくいという側面があります。
そのため、目標管理シートを使って人材育成をしていく際には、定性的な目標はできるだけ定量的な目標に置き換えるか、定量的な目標と併せて設定することが推奨されています。この点も、人材育成をスムーズに進めるためのコツの一つとして、覚えておきましょう。
【営業職】人材育成のための目標管理シート例文
ここからは、代表的な7つの職種別に目標管理シートに書く具体的な目標の例文を紹介していきます。それぞれ定量的・定性的な目標に分けて、複数の例を挙げていきますので、自社の人材育成に目標管理シートを活用する際の参考としてご確認ください。
まず、数値目標を設定しやすい営業職における定量的・定性的な目標例は以下の通りです。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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【事務・総務職】人材育成のための目標管理シート例文
書類や資料の作成・整理の他、来客や電話への応対も行う事務・総務職は、営業職に比べると数値目標を設定しにくいイメージがあるかもしれません。もし、目標設定に悩んだら、以下のようなイメージで定量的・定性的な目標を考えてみましょう。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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【人事・労務職】人材育成のための目標管理シート例文
人材の採用や教育、労働環境の管理・改善等を行う人事や労務は、人数や人材定着率など数値によって管理する要素が比較的多いため、定量的な目標も立てやすいと考えられます。もし、定性的な目標しかイメージできないようなら、大きなビジョンやテーマといった定性的な目標から、それらを達成するための指標・数値目標を書き出していくといいかもしれません。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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【経理職】人材育成のための目標管理シート例文
お金の流れを記録・管理する経理職は、特に削減目標等を定量化しやすい職種だと言えます。
目標管理シートの記入内容に迷ったら、経費や残業時間の削減、または経理部全体の業務改善のためにできることはないかという視点から、定量的な目標を考えてみてください。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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【サービス職】人材育成のための目標管理シート例文
飲食店やホテル、販売店等で勤務するサービス職の方の業績は、客観的な評価がしにくいものも少なくありません。人材育成を通して達成したいビジョンを、売り上げや利益率、リピート率、客単価等の数値目標に落とし込むことで、目標を定量化させてみましょう。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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企業組織で働く人の仕事・学びへの価値観を変える!日創研の「可能思考セミナー」について
【技術職】人材育成のための目標管理シート例文
技術職の目標例としては、作業時間や不良率の削減、業務上の技術向上などが挙げられます。
個人で達成可能な内容の他、営業等の他部署や後輩、同僚と協力して技術向上を目指すような目標を設定するのもおすすめです。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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【管理職】人材育成のための目標管理シート例文
自分だけではなく、部下の勤怠や業績を管理すること、またチーム単位でPDCAサイクルを回すことを求められる管理職は、個人というよりはチーム全体や部下の育成・成長を目標に掲げると良いでしょう。
定量的な目標の例 |
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定性的な目標の例 |
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目標管理シートは、非常に効果的な人材育成ツールの一つ
企業や団体等の組織が人材育成を成功させるには、人材育成目標を設定し、その達成に向けて全社的に取り組んでいく必要があります。そのため、組織としての目標を個人単位の目標に落とし込み、社員本人がやるべきことや目標達成の期日を具体化していくのに役立つ目標管理シートは、人材育成の現場において非常に有用なツールの一つと言えるでしょう。
自社の人材育成がうまく進まない原因が、目標の設定や管理の不備にあると考えられる時は、目標管理シートの導入も積極的に検討してみてくださいね。
なお目標の設定・管理だけでなく、自社に合った人材育成手法や仕組みづくり等、人材育成を成功させるための基本的な考え方、やり方がわからなくて困っているという場合は、日創研の「人材育成ワンポイントセミナー」で人材育成の基礎を改めて学ぶことも考えてみましょう。
「人材育成ワンポイントセミナー」では、上司・部下・組織の各側面から、最も大切な経営資源である人を育成するための仕組み、ポイントについて体系的にお伝えしていきます。
経営陣と管理職で人材育成について学び直してみたい、人材育成に関する知識や認識をアップデートしたいとお考えの経営者の方は、ぜひ日創研の「人材育成ワンポイントセミナー」の受講をご検討の上、お気軽にご相談ください。