成果を出すための習慣
「運動習慣を取り入れて痩せたい」「学習習慣をつけてスキルアップを目指したい」など良い習慣を生活の一部に取り入れて、人生を豊かなものにしたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
しかし、習慣化は案外難しく、三日坊主という言葉もあるほどに達成出来る人は限られています。
そこで本記事では、習慣化を身につけるための基本的な考え方や行動について、詳細を紹介しています。
根本的に生活スタイルを変えて、新しい人生の幕開けを迎えたいと考える方は、ぜひ記事内容をご確認ください。
目次
習慣化とは
習慣化とは、同じ状況のもとで繰り返し行われた行動がやがて定着し、無意識のもとで自動化して行われることです。多くの人が行っている習慣に、歯磨きや洗顔があります。個々でルーティン化している行動も習慣化の一つです。また、箸をつかって食べるという、よく考えると難しい行為も習慣化によって何も考えずに出来るようになります。やるか、やらないかを考えるまでもなく、面倒と感じることもなく、気がつくと自動的に体が動いて行動している状態が習慣化です。
習慣化を集約した3つの特徴
習慣化された行動の特徴は以下の3点に集約されます。
- 行動が当たり前となり、やらないと気がすまない、落ち着かない気がする
- 意思の力を必要としない
- 頑張らなくとも継続できる。やめたくてもやめられない
習慣化を味方につけると、継続してやり続けたいことを無理なく続けることができます。
人生がよい方向へ向かう習慣化のメリット
習慣化を身につけることで得られるメリットを3つピックアップしました。
習慣化を身につけるには、あらかじめメリットを知っておいたほうが良い結果が得られます。
やりたいこと、やるべきことがすんなり実行できる
勉強や家事、仕事、ダイエットなど、人は生活のさまざまな場面でやるべきことや成し遂げたいことに遭遇します。やるべきことを自分の意思で継続するのは、それなりに厳しく大変です。自分の意思を基本に行動すると、どうしてもやめたくなる時が訪れてしまいます。途中でやめてしまうと、継続している人と比較して自責の念に駆られてしまうことも多いのではないでしょうか。そうなると、再び歩みだすのは難しくなります。
しかし、自分を駄目な人間だと卑下する必要はありません。
実はやるべきことを長く継続している人たちは、意思の力によるものではなく、習慣化のテクニックをうまく活用しているのです。
習慣化の最大のメリットは、やるべきことを自動化し、継続できることにあります。
良い行動習慣は心身によい影響をもたらす
体や生活にプラスになる行動を習慣化してしまうと、人生にとってプラスになります。
良いとされる習慣は数多くありますが、中でも運動は心身を良い状態に保つために欠かせない習慣です。
本を読む習慣や、ニュースをピックアップして自分なりの意見をメモする、という習慣は仕事や対人関係の中で役立つ可能性があります。
心身や生活、仕事にプラスとなる習慣を身につけることは、人生そのものに良い効果をもたらすでしょう。
達成体験が自信となり自己効力感を高める
自分が決めたことを継続し、習慣化にこぎつけると一種の成功体験を感じることができます。
成功体験は自分の挑戦が間違いでなかったことを確認でき、次の段階へステップアップする時の重要な足がかりとなります。自己効力感を高めるまたとない機会にもなるでしょう。
習慣化した行動を繰り返すことで、新しい成功体験へたどり着き、さらなる自己効力感とともに、より強い自信と信念をもって行動できるようになります。
習慣化にかかる日数は?目安は約2ヶ月
習慣化の基本は繰り返しです。継続して繰り返しを行うことでやがて習慣化へつながります。
では、おおよそどのくらいの期間繰り返しを行えば、習慣化となり得るのでしょうか。
調査実例をもとに具体的な日数を紹介します。
必要とする日数はおおよそ18日〜254日
ロンドン大学のフィリッパラリー博士は、96人を対象に習慣化に必要な日数を調査しました。
調査結果には開きがあり、習慣化に要する期間は18日〜254日という結果がでています。
調査結果の開きの要因は、その内容にありました。
行動が簡単であればあるほど要する期間は短く、複雑で負荷の大きな行動ほど習慣化に時間がかかります。
例えば、昼食の時に水を飲む習慣化には約18日必要、毎朝腹筋を50回する、という行動には254日必要という具合です。
最低3週間は見ておきたい 時間がかかっても諦めない気持ち
前述の実験結果からも見て取れるように、決まった時間に水を飲むという簡単な習慣化でも約18日、おおよそ3週間近い期間を要します。少なくとも1週間程度では習慣化の効果は現れないということです。
習慣化に結びつく期間は対象としている行動によって、大幅に異なります。3週間で習慣化できなかった場合でも自虐的にならずに、ある程度長い目で見て計画をたてましょう。
習慣化までの基本的なテクニック
習慣化に関する前提知識を身に着けたあとは、実際の進め方を習得しましょう。
習慣化を進めるには、以下3つのステップに取り組みます。
習慣化したい行動を5W1Hで決める
何を習慣化したいのか?について5W1Hの考え方を用います。習慣化を成功させるには、具体的な行動として何に取り組むのか?を明確にすることが大切です。
明確にされた内容は、常に同じ行動の繰り返しとなり、効率のよい習慣化を実現します。
具体例は以下の通りです。
What 何を | マインドフルネスを身につける |
---|---|
Who 誰が | 私 |
When いつ | 毎朝、出勤の前 |
Where どこで | 自分の部屋 |
Why なぜ | メンタルの安定とコントロールのため |
How どのように | 時計で時間を計測しつつ5分〜10分 |
ここで決めた内容は、この先習慣化された後も繰り返すことになりますので、よく考えた上で設定しましょう。
習慣化を実現した後のメリット・デメリットを表にする
2つめのステップは、習慣化で得られるメリットとデメリットをまとめることです。
メリットをしっかりと意識することで、習慣化へつながりやすくなります。一方、デメリットに挙がった項目は、挫折の要因になりやすいポイントです。
あらかじめ挫折ポイントを把握しておくと、失敗の予防につながります。
継続するために4つの工夫を考える
4つ目のステップは、継続するための4つの工夫を決めることです。習慣化を目指す行動によっては、長い時間を要することもあります。
事前に4つの工夫を考えておくと、継続しやすくなるでしょう。
主な工夫の例を以下にピックアップしました。
・ 同僚へ習慣化のチャレンジを公言する
・ カレンダーに達成した日をつける
・ 1週間継続するたびに自分へご褒美を与える
・ 習慣化アプリなどを活用する
習慣化を成功へ導く7つのポイント
3つのステップにて準備ができたら実践にとりかかりましょう。
習慣化を定着させるには、以下7つのポイントを意識しつつ進めていきます。
つらい思いを自分に課さない
習慣化を目指して長く継続するために自分につらい思いをさせない、という考え方はとても重要です。基本となる考え方といっても良いでしょう。
習慣化が身につく前の段階では、脳は心地よいことはやりたい、不快なことはやりたくない、というシンプルな反応を示します。
脳につらい、苦しい、嫌な思いを立て続けに与え続けると本能的に行動を拒否するため、習慣化の達成は難しくなります。
日本においては、つらい、苦しいことを乗り越えてこそ習慣化の道が開けるような基本的概念がありますが、こと習慣化においては間違った考え方です。
あたらしい行動の実践中に、出来る限り自分にとってつらい、苦しい、嫌な思いをさせないようにしましょう。
とはいえ、記録の更新を狙うなど、行動の目的によってはずっと自分にやさしい状態では意味をなさないケースもあります。
自分へ負荷をかけてより高みを目指したい場合は、習慣化が身についてからにしましょう。
一度習慣化が身についてしまうと、多少厳しい負荷をかけても簡単には崩れないようになっています。
まずは簡単に崩れない強い習慣化の土台を作り上げることが大切です。
スモールスタートを心がける
スタートは可能な限り小さく始めましょう。前述のとおり、難しい行動がともなう習慣化には時間がかかりますが、簡単な行動は、最短3週間程度で習慣化が可能です。
初めて習慣化に挑戦する人は、失敗するのが難しいというレベルから始めると成功しやすくなります。
例えば、腕立て伏せ50回を習慣化したい場合、まず毎日1回を目標とします。1回が習慣化できると、段階的に2回、3回と回数を積み上げていきましょう。
大きな負荷がかかる習慣化は、まず小さな負荷の習慣化を身につけることからスタートすると挫折しにくくなります。
自分の意思でなく脳の意思を使う
習慣化を身につける期間中には、どうしてもやりたくないと思う日が来ます。ここで無理に頑張って、なんとかこなそうとすると、脳に無理なストレスを与えてしまうため注意が必要です。
どうしてもやりたくない、という感情はやる気の減退が原因です。やる気の増大を促す脳内物質を増やして、様子を見てみましょう。
一般的にやる気の源となる脳内物質は、ドーパミンやβ-エンドルフィンといわれています。
やる気がでない時は、習慣化に関係ないことで体を一時的に動かす、とりあえず作業のために手を動かしてみるなど、体と脳の連携を促してみてはいかがでしょうか。
紙に書き出して目に見えるところに貼る
習慣化したい行動が記憶から抜け落ちてしまい、気づけばすっかり忘れていた、ということもあります。
脳の情報処理や、短期的な記憶の保持はワーキングメモリと言われており、ワーキングメモリ能力の低下は、マルチタスクに影響をあたえ、細かいことを忘れがちになってしまいます。
紙に書いて見えるところへ貼っておく、という方法はアナログで原始的にも思えますが、人間のワーキングメモリをサポートするには良い方法です。
日々の数字を記録する
達成記録を書き記すことは小さな成功体験の積み重ねにもなり、大きな喜びをもたらします。数字の記録による達成感は励みとなり、次回への活力にもつながるでしょう。
記録の積み重ねは脳のよろこびにもつながるため、相乗効果でよりやる気を引き出すことも可能です。
積み重ねた記録は、途中で断念したくないという気持ちの芽生えにもなり、より習慣化につながるはずみがつきます。
小さなゴールに喜びを感じる
些細なことでも喜びを見出すと脳のよろこびにもつながり、習慣化によい影響をもたらします。
少しでも自分のプラスになる感覚や感情、発見があればはっきり言葉に出して自覚し、大げさに感じることがポイントです。
小さな喜びの一例を以下にピックアップしました。
- ランニングした後に飲む水がとても美味しい
- 早起きして吸う空気の新鮮さ
- 運動後の体の軽さはまるで別人みたい
達成感と些細な喜びの相乗効果によって、無理の無い習慣化を実現できます。
他の人の力を借りる
習慣化は一人の力でも達成できますが、仲間の力を借りると、習慣化への道のりがより近くに見えてきます。同じ目標に向けてチャレンジできる仲間がいると、習慣化達成への可能性はより高くなるでしょう。
同じ習慣化を目指す仲間がいると、いざ挫折しそうになった時に大きな支えとなります。
小さな目標を達成するごとに、仲間どうしで褒め合うとより習慣化までの道のりを楽しみながら進めることができます。
学びの習慣化とリスキリング
ビジネスパーソンにとっては、体の健康もさることながら、スキルアップに関する習慣化も抑えておきたいところです。
市場価値を高めるためだけでなく、管理職へステップアップするとともに、組織運営という新たな学びも必要です。
また、より本格化する高齢化社会においては、継続的な労働を実現するためのリスキリングも考えておく必要があります。
大きな変容を伴う社会が予想される将来、学びの習慣化は多くの人の生活において重要課題の一つとなるでしょう。
学びを習慣化させるための4つのポイント
習慣化への基本的な考え方は同じですが、学びの習慣化に向けた独自のポイントを以下に紹介します。
学びの目的を明確にする
学びを習慣化するには動機が大切です。ビジネス書の中で勧められていた、友人が語学学校に通っているから、という動機では継続できないでしょう。
最初は情熱をもって取り組んでいても、確固たる動機がみつからないままでは、いつしか頓挫してしまいます。
例えば語学学習の場合、「仕事に必要だから」「貿易関係の仕事をしたい」「海外に移住したい」など、強い動機があるといつまでに、どの程度など内容が具体化できるため、習慣化までの道のりはより鮮明になってくるでしょう。
学ぶ内容の全体像を把握する
一冊の本を集中して読み込むことから始めるよりも、まずは学習の全体像を把握することが重要です。
何もわからない学び始めの段階では、力をいれて学習すべきポイントと、必要に応じて知っておくべき箇所など適度に当たりをつけて学習にメリハリをもたせます。
全体像を把握しないまま学習を進めることは、広大な砂漠をあてもなく歩くことに等しい、無謀な行動です。
基礎知識の習得は多読から
基礎知識の習得は多読が基本です。インプットは質より量を重視したほうが知識として残りやすい傾向があります。
本を読んで知識を習得する必要がある時は、多少テーマが重複していてもかまわずに多読を心がけましょう。
運動の基礎練習と同じく、何かを基礎から学ぶ場合は絶対投入時間や絶対投入量が必要です。
多くの本を読むと基礎力のみならず、大切な情報と、参考程度にとどめておいても良い情報の見分けがつくようになります。
計画は短期間で区切る
「1年間の学習計画」のような壮大な計画を立ててしまうと、途中で挫折する可能性が一気に上がります。一方、1週間や1ヶ月で区切ると、できそうな気がする人も多いのではないでしょうか。
例えば語学学習であれば、2週間後にみんなの前でスピーチを行う、などのゴールを作ります。近くに明確なゴールがあれば多少やる気も湧いてくるでしょう。
学習の習慣化には短い期間の目標達成を繰り返しつつ、集中的に学ぶことが必要です。
まとめ
一つのことを長く継続するなんて、とてもできないと考えてしまいがちですが、要領を得てしまえば、習慣化の難易度は高くありません。実際に多くの人は、歯磨きや洗顔、箸を使う技術を習慣化していることがその証左です。
まずは自分に負荷をかけずに、習慣化させることから始めます。脳の本能や、仲間の協力などを活用し、良い習慣を身に着けましょう。