社員教育をしない会社は将来どうなる?起こり得るリスクや今すぐにできる対策とは

組織全体の発展、またそこで働く個人の成長の両方を目的に、社員教育に力を入れる企業は多いですが、もし社員教育をしないまま会社経営を続けると、どうなってしまうのでしょうか。
そこで今回は、全国に14,000社以上もの会員企業様を抱え、さまざまな中小企業の社員教育を支援してきた日創研が、社員教育をしない会社に起こり得ることについて解説していきます。
また併せて社員教育の重要性や、社員教育をしていない会社が今すぐに取るべき対応も具体的に紹介していきますので、自社の社員教育の体制や質を変革する必要性を感じているものの、どうすればいいかわからないとお悩みの経営者の方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
社員教育をしない会社はどうなる?将来的に起こり得ること
社員教育は日々の業務の遂行に必要なスキルや知識を獲得する他、企業全体として目指すべき姿や仕事の目的、経営理念等を会社から社員さん達に伝え、知ってもらう機会となります。
そのため社員教育をしないまま経営を続けた会社は、将来的に以下のような状況になるリスクが非常に高いと考えられるでしょう。
- 社員の仕事へのモチベーション、会社へのエンゲージメント(帰属意識)が低下する
- マンネリ化によって会社内の活気が徐々に失われ、退職する人が増える
- 人の出入りが激しくなり、社内にスキルやノウハウを蓄積できなくなる
- スキルの蓄積ができなくなった結果、会社全体の業務効率や生産性が低下する
- 人材が育たなくなるため、管理職や経営幹部となる候補者もいなくなる
- 企業としての競争力が低下し、環境や時代の変化、危機に対応できなくなる
「企業は人なり」という言葉があるように、人材は最も重要な経営資源の一つです。その人材へのケアや投資を怠った会社は、少しずつ社員からの信頼を失い、やがて自社から流出させてしまうことになるでしょう。
そしてその結果、業務の遂行や人材育成に必要なスキル、ノウハウの社内への蓄積もできなくなり、将来的には企業としての競争力や存在価値も失ってしまうことになるのです。
【関連記事】会社の成長に欠かせない社員教育とは?実施の目的や手段の種類などについて解説
社員教育をしない会社…考えられる理由・原因は?
ここまでに見てきた通り、社員教育は企業組織が存続や発展をしていく上で非常に重要な要素の一つです。それではなぜ「社員教育をしない会社」が、一定数存在しているのでしょうか。
一部の会社が、社員教育をしない方針を取る理由・原因としては、大きく以下の3つのパターンが考えられるでしょう。
人的・時間的・経済的に社員教育にかける余裕がない
社員教育を行うには、いつ、どの階層や役職の社員を対象に、どのような内容とスケジュールで実施するのかを考え、実行する担当者・責任者が必要になります。また社員教育として実施する集合研修等を、外部の講師や企業に委託する場合には、別途費用も必要になるでしょう。
このように、社員教育を実施するには一定の人員・時間・費用等のコストがかかってきます。
そのため特に中小企業においては、社員教育に割く人的・時間的・経済的なリソースを十分に確保できないことを理由に社員教育をしない、できないという会社が少なくありません。
社内の教育体制や人事評価制度が整備されていない
社員教育に注力するには、まず社員が安心して教育を受けられる仕組みや組織風土をつくり、学習のモチベーションを高めるための人事評価制度を整備する必要があります。これらの体制づくりは、教育を受ける側である社員さんのためだけでなく、教育する側である経営者や経営幹部、人事担当者等が施策を進めやすくするためにも、必要な事前準備だと言えるでしょう。
社員教育をしない会社の中には、上記のような社員教育を行うための環境整備ができていないところも多いです。今現在、自社内において社員教育ができておらず、その原因がわからないという場合は、一度、自社の人事制度や評価制度を確認してみると良いかもしれません。
社員教育の重要性が理解されておらず、優先度が低い
先述した通り、社員教育は会社の将来を考える上で非常に重要であり、優先的に取り組むべきことの一つです。しかし以下のような理由から、社長や経営幹部、管理職などがその重要性を十分に理解できておらず、社員教育はしないと決断しているケースもあります。
- 会社が最優先に考えるべきことは、業績や売上を少しでも伸ばすことだけである
- 社員教育に人員や予算、時間を割くのはもったいない、コストの無駄遣い
- 仕事は実務を通して身に着けるべきものであり、社員教育の制度等は必要ない
- 仕事をする上で、会社の理念や仕事の目的を社員に共有する必要はない など
経営者が知っておくべき社員教育の目的や重要性
日本では、少子高齢化による労働力人口の減少により、人手不足が深刻化しつつあります。
そのため社員教育を通して、既存の社員に個々の能力や生産性を向上してもらうことは、組織としての成長や発展はもちろん、会社として生き残りを図る上でも非常に重要です。これから社員教育に注力したい、自社の社員教育の体制を整えていきたいと考えているなら、まず会社にとっての社員教育の必要性・重要性について、十分に理解しましょう。
なお社員教育を行う理由は、企業によって異なります。一般的には自社が抱える課題の解決、または経営目標の達成等を目的とすることが多いですが、具体的な例としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。
- 社員さんの成長を通して、業績向上や経営戦略を実現するため
- 会社の経営理念やビジョン、存在意義等を社員に共有するため
- 社員の成長を積極的に支援することで、人材の流出を抑制するため
- コンプライアンスを周知し、組織全体としてリスクヘッジをするため
- 仕事を通して、社員さん達が自己実現を果たすサポートをするため
会社として社員教育に注力するメリットは?
ここからは、社員教育に取り組むことで企業が得られるメリットについて、具体的に紹介していきます。効果が不透明な中でなぜコストをかけて社員教育に取り組む必要があるのか、自社にとっての社員教育の必要性・重要性を理解するための参考として、ご確認ください。
- 個々の社員がスキルアップできれば、組織全体の業務効率や生産性も向上する
- 会社が何を目的に、どこを目指して進んでいるかを組織全体に浸透させる機会になる
- 社員に会社に対する愛着や感謝の気持ち、社会貢献している実感が生まれやすくなる
- 離職率が低下し、人材の定着率が上がることで、会社としての競争力が高まる
自身が何のために働いているのか、何のために目の前の作業を行うのかがわかれば、業務への理解が深まりやすくなり、仕事へのやりがいやモチベーションも高まりやすくなります。
会社として成長・発展するためだけでなく、社員に愛着とやりがいを持って働いてもらうためにも、社員教育をする必要があるのだと覚えておきましょう。
社員教育をしない会社が、今すぐに取るべき対応3つ
ここからは、社員教育をしない会社の体質を改めたいという経営者の方に向けて、まず何から取り組んでいけばいいのか、社員教育のために今すぐにできる対策を3つ紹介していきます。
ひと通り確認して、これから自社の社員教育に注力していくための準備にお役立てください。
【その1】社員教育を行うための情報収集を始める
まずは、自社が社員教育を実施・強化するのに必要な情報を集めるところから始めましょう。
会社として社員教育を実施・強化するには、まず社員教育を主導する立場である経営者や経営幹部、人事担当者などが社員教育について学び、知識を獲得する必要があります。これから社員教育を行うにあたってどのような準備や計画が必要なのか、自社が今すぐに取り組める社員教育にはどのような方法・内容の選択肢があるのか等について、情報を集めてみてください。
【その2】自社が求める人物像=人事理念を設定する
社員教育をしない会社の多くは、社員教育によってどのような人材を育て、獲得したいのかも明確にできていません。しかし、社員教育の計画や施策は、組織全体としての目的や求める人物像に合わせて決定する必要があります。
まだ自社が求める人物像が明確にできていないという場合は、経営理念をもとに求める人物像(=人事理念)を明らかにしてください。
【その3】人的・時間的負担が少ない社員教育から導入する
現状把握と情報収集が進み、社員教育の方向性や計画がある程度見えてきたら、次は、具体的な教育施策を考える段階に入っていきます。しかし、人的・時間的・経済的リソースが限られている中で、いきなり大々的な研修等を行うのは現実的でないと考える企業も多いでしょう。
そのような時は、現場の社員の業務を圧迫するリスクの低い方法を使って社員教育を実施するのがおすすめです。具体的には短時間で、または教育対象となる社員にとって都合の良いタイミングで実施できる以下のような手法を導入して、社員教育を始めてみると良いでしょう。
- あらかじめWeb上に用意した動画や文章などを視聴し学んでもらう「eラーニング」
- コーチング型のコミュニケーションで朝礼を学びの時間にする「コーチング型朝礼」
- 作業の効率化、業務改善、教育マニュアルならGrowth College(グロースカレッジ)
「社員教育をしないこと」は会社全体にとって大きなリスク
社員教育をしないということは、重要な経営資源の一つである人を大切に扱わず、会社の将来に必要な投資をしないということに他なりません。そのため社員教育をしないまま会社経営を続けることは、組織にとって、またすべての社員にとって非常にリスクが大きいと言えます。
社員教育をしないリスクや、その重要性をよく理解した上で、計画的かつ戦略的に社員教育を行う必要があると覚えておきましょう。
なお日創研では、社員のキャリアアップやスキルアップを支援する立場である経営陣、管理職の方に向けて、社員教育の意義や具体的な手法について学んでいただける「キャリア開発支援セミナー」を開催しています。
社員教育を行うための情報収集の一環として、また社員教育の第一歩として経営者と管理職の全員でキャリア開発に関する知識や認識をアップデートしたいという場合は、日創研の「キャリア開発支援セミナー」の受講もご検討の上、ぜひお気軽にご相談ください。
