2024.10.16

企業組織が人材育成プランをイメージする方法を解説!具体的な考え方・実現のポイントとは?

企業組織が人材育成プランをイメージする方法を解説!具体的な考え方・実現のポイントとは?

企業や団体などの組織が人材育成を成功させるには、あらかじめ自社が求める人物像や従業員に歩んでほしい理想的なキャリアプラン等について、イメージを固めておく必要があります。

そこで今回は、日本全国に14,000社以上もの会員企業様を抱え、多様な中小企業の人材育成を支援してきた日創研が、人材育成プランをイメージする際のコツや軸となる考え方、人材育成の成功イメージを現実にするためのポイントについて、まとめて解説していきます。

人材育成の必要性を強く感じているものの、自社が求める人材や育成プランのイメージが湧かず、どうしたらいいかわからないとお悩みの経営者の方は、ぜひ参考にご覧ください。

自社に合った人材育成プランをイメージする方法

自社に合った人材育成プランをイメージする方法

まずは、企業や団体などの組織が、それぞれの業態や業種、状況に合った人材育成プランをイメージするための方法について、紹介していきます。自社にとって理想的な人物像や人材育成プランを考える時は、以下の3つの項目を意識しながらイメージを固めていくとよいでしょう。

まず経営理念をもとに「人事理念」を考える

人事理念とは、その組織がどのような人物を求めているか、自社における人材の評価基準や、どのような目的・考え方のもとで育成していくかなどの方向性について明確化したものです。

企業組織が人材育成を行う上で軸となる考え方・価値観である人事理念さえ固まっていれば、具体的な目的や目標、期日、教育施策もかなりイメージしやすくなります。もし、自社に合う人材育成プランやキャリアプランをなかなかイメージできないという場合は、まず自社の人事理念の構築・確認から始めると良いでしょう。

なお人事理念は、企業組織として活動する上での基本方針となる経営理念をもとに考えていくのがおすすめです。

具体的には、経営理念から将来的なビジョン、企業として果たしたいミッションを導き出し、それらを達成する上で必要な人材、組織として求める人物像を明らかにしていきます。そして、自社の人材を求める人物像に近づけていくために必要な学習機会や人事体制、人事評価制度がどのようなものかを検討し、具体化していくと良いでしょう。

自社の現状を分析し、人材育成上の課題を把握する

現状、自社が人材育成においてどのような問題・課題を抱えているか、また人材育成を通して解決したいことは何なのかを把握し、分析することも、自社に適した人材育成プランをイメージしていく上で役立ちます。

経営陣が認識している問題・課題の他、各部門を管理する立場である管理職や現場の社員にもヒアリングを行い、人材育成において困っていることや変えるべきことを確認してみましょう。

なお、企業組織で発生しがちな人材育成上の問題・課題の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

人材育成上の問題の例 人材育成上の課題の例
  • 時間的、人的余裕がなく、若手社員や新入社員への教育が後回しにしている
  • 人材育成を担う立場である上司、管理職の人材育成への意識と教育スキルが低い
  • 育成対象者本人の学びへのモチベーションが低く、知識や技術が定着しない
  • 教育施策に一貫性がなく、育成対象者の混乱や施策のマンネリ化を招いている
  • 日々の業務の効率化や労働環境の改善を図り、さまざまな育成手法の活用を検討する
  • まず経営陣、管理職が研修に参加し、人材育成に対する意識やスキルを高める
  • 育成対象者に、仕事への価値観や自己認識を変えるための研修機会も提供する
  • 中長期的な視点で、戦略的な人材育成計画を立てて施策を改める

【関連記事】企業の人材育成で起こりがちな課題とは?解決策や成功のポイントをまとめて紹介

もし、自社における人材育成上の問題・課題をうまく把握できない、整理できないという場合は、フレームワークを活用すると良いかもしれません。人材育成に使えるフレームワークの具体例や活用のコツについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひ併せてご確認ください。

求める人物像は、階層や役職ごとに分けて設定する

企業には経営者、経営幹部、管理職などの役職者、現場の社員など、さまざまな階層の人が働いていて、それぞれの立場により、求められる能力や担うべき役割が大きく変わってきます。

そのため、自社の人材育成プランやキャリアプランをイメージする上で重要な「求める人物像」も、人材の階層や役職ごとに分けて設定しなければなりません。人事理念を考える時は、社員の階層や役職、行動特性ごとに求める人物像を具体的にイメージするようにしましょう。

人材育成をイメージする上で大切な「階層」について

ここからは、自社に適した人材育成プランをイメージする際に階層を意識することの重要性について、もう少し詳しく見ていきましょう。

組織を運営していくには、組織を支える各階層の人たちが自身に求められていることを理解し、確実に役割を果たすことが不可欠となります。

先頭に立って組織全体を導く立場である経営者はもちろん、部下を指導・管理する役職者、日々お客様と接する現場の社員のそれぞれに、その階層でしか果たせない役割や責任があります。企業組織は、組織を支える階層のうちどこかが欠けてしまったり、役割を果たせなくなると存続することができません。

だからこそ、人材育成を進める際は、各階層の人が自分たちに求められる役割を果たせるだけのスキルと知識、経験を獲得できる施策を策定する必要があると理解しておきましょう。

企業組織の階層はどう分ける?日創研の考え方

日創研では、企業の階層を社長・経営幹部・現場の社員の3つに分けています。そしてそれぞれが求められる役割を自覚した上で高いパフォーマンスを発揮する「三位一体の経営」ができる状態を目指し、以下の分野について各階層の行動特性別に体系的な教育を提供することを推奨しております。

  • ビジネススキル
  • コミュニケーションスキル
  • 可能思考能力

階層ごとに自社が求める人物像、また人材育成プランをイメージするのが困難な場合は、日創研が推奨する階層分けや三位一体の組織と経営について紹介した以下のページもぜひ参考にご覧くださいね。

【階層別】人材育成計画をイメージする上で重視すべきことの違い

【階層別】人材育成計画をイメージする上で重視すべきことの違い

ここからは、さまざまな中小企業の人材育成をサポートしてきた日創研の視点から、社長・経営幹部・現場の社員の階層ごとに人材育成プランをイメージする際に重要視すべきこと、注意すべきことについて、それぞれ紹介していきます。

階層や行動特性別の求める人物像、人材育成プランをイメージする際に、お役立てください。

【社長の場合】人材育成計画をイメージする際に重視すべきこと

組織とそこで働く個人を守り、引っ張っていく立場である社長には、会社が目指すべき方向を示す経営理念や人事理念を構築し、戦略を立てて会社の行き先を決める役割が求められます。

そして社長としての役割を担うには、以下のようなコンセプチュアルスキル(戦略的思考能力)が不可欠だと言えるでしょう。

  • 会社を全体として、また働く人たちにとって良い組織にするためのビジョン構築力
  • 構築した理念やビジョンを、わかりやすく他の社員に伝えて浸透させていく能力
  • 大局的かつ中長期的な視点を持ち、理念に沿った経営・人事戦略を構築する能力
  • 会社の代表として意思決定し、組織と個人双方にとって良い方向へ導いていく能力

自社の人材育成を成功させるために、まず経営者自身を育成・成長させる必要性を感じた場合は、上記のようなコンセプチュアルスキルの向上に役立つセミナー等を探すと良いでしょう。

また、企業組織にとっての人材育成の重要性について再確認し、人材育成への基本的な考え方をアップデートできるようなセミナーに経営幹部とともに参加するのもおすすめです。

【経営幹部の場合】人材育成計画をイメージする際に重視すべきこと

社長に次ぐ立場として経営を補佐するとともに、部下のマネジメントという役割も求められる経営幹部には、コンセプチュアルスキルに加えて、仕事関係者と良好な人間関係を築くためのヒューマンスキル、業務上必要な知識を使いこなすためのテクニカルスキルまでバランスよく備えていることが求められます。

なお、経営幹部に期待される能力の具体例としては以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • 社長が決定した会社方針を守り、策定された計画を遂行して数値目標を達成する能力
  • 短期的な視点で適切に意思決定し、チームでPDCAサイクルを回すリーダーシップ
  • 部下の悩みや心情に寄り添いながらも、伝えるべきことを明確に伝えられる部下指導力
  • 必要に応じて部下の業務を代わったり、お客様の課題解決を行える専門的な知識・技術

経営幹部や管理職などの役職者として活躍する人材は、計画実行力や業務の進捗管理能力などのコンセプチュアルスキルが非常に高いことが多いです。しかし中には、コンセプチュアルスキルが高い一方で、人材育成への意識や教育スキルが不足しているというケースもあります。

ですので、自社に合う人材育成プランをイメージする中で、育成担当者となる経営幹部や管理職の人材育成への考え方に課題があると感じた場合は、マネジメントについて学べる研修やセミナーの活用を検討すると良いでしょう。

【現場の社員の場合】人材育成計画をイメージする際に重視すべきこと

自社のお客様と直接話す、また自社のサービス・商品を提供する立場となるのが、現場の社員です。その現場の社員に求められる役割は、たしかな知識と技術でお客様が抱える課題を解決すること、そしてお客様とのコミュニケーションの中で自社にとって有用な情報を集めてくることだと言えるでしょう。

そのため現場の社員には、以下のようなことができるだけのテクニカルスキル、組織の一員としての役割を果たすためのヒューマンスキルが必要になります。

  • 市場やお客様からのニーズ、またその変化をきちんとつかめるだけの情報収集力
  • チームや組織全体として毎月、毎年の目標を達成できるだけの技術力と管理能力
  • お客様の課題を確実に解決し、仕事をいただくための顧客満足力とホスピタリティ

なお人材育成を進めるにあたって、現場の社員の仕事への姿勢やモチベーションを向上したいという場合は、価値観教育を実施するのが効果的です。業績に直結するビジネススキルや専門技術等の他に、仕事への価値観をアップデートするための学習機会の導入も検討してみてください。

人材育成の成功イメージを現実にするポイント5つ

最後に、ここまでで思い描いた人材育成の成功イメージを現実にするためのポイントを5つに絞って紹介していきます。人材育成に取り組む上での参考として、ぜひお役立てください。

トップダウンで全社的に人材育成を推進する

人材育成を通じて企業全体の成長と発展を促進するには、人材育成の目的や方針についてすべての社員から理解と協力を得た上で、施策を実行していく必要があります。まずはトップが明確に、強い意志で方針を提示し、全社を挙げて人材育成に取り組めるようにしましょう。

人材育成を担う経営陣と管理職で共通の研修等を受ける

人材育成を行うにあたり、育成を主導し学習内容等を決める立場である経営陣や、指導する側・教える側である上司や管理職が、人材育成についての学びを共有することも大切です。

人材育成を成功させたいなら、まず学ぶべきなのは経営者や管理職側だと考え、一緒に人材育成に関する知識や認識をアップデートするためのセミナーを受けることも検討してください。

社員の自律性を引き出す環境づくりにも取り組む

人材育成を行う際は、自らのキャリアはもちろん、組織全体の目標達成や成長まで考えて主体的に行動できる自律型人材を育てる意識を持つことも重要です。人材育成プランをイメージする時は、社員の自己効力感や自信が高まる以下のような要素も盛り込むようにしましょう。

  • 組織全体の人材育成目標、方針に沿った個別目標を社員本人に設定・達成させる
  • チャレンジや学習の意欲が湧くような人事評価制度、労働環境の構築を目指す
  • 学習したことを実践し、能力として社員に定着させるための機会も必ず用意する など

固定概念に捉われずいろいろな学び方を検討する

人材育成の具体的な教育プランとしては、実務を通して業務に必要な知識と技術の習得を目指すOJTや、業務とは別に場所と時間を確保して社内や外部の研修・セミナー等に参加して学習するOFF-JT、その他自己啓発支援、メンター制度、個別面談など、さまざまな種類があります。

また近年では、ネット環境さえあればいつでもスキマ時間で動画等の学習コンテンツを使って学べるオンライン学習、eラーニング等のITを活用した人材育成手法もありますので、幅広く自社の状況に合った人材育成手法の活用を検討してみましょう。

定期的に進捗確認や方針の見直し、改善等を行う

人材育成の成果を実感できるようになるには、5年〜10年単位の時間がかかります。そのため人材育成施策を行う際は、定期的に進捗確認や効果測定、振り返りを行い、状況の変化に応じて学習プラン等を変更しながら目的や目標の達成を目指す必要があります。

これから人材育成プランを具体的にイメージするなら、人材育成の方針や目標は一度定めたら終わりではないこと、時代や状況の変化に合わせて柔軟に見直すべきものであることも覚えておいてくださいね。

求める人物像やプランを具体的にイメージするのが、人材育成を成功させるカギ

求める人物像やプランを具体的にイメージするのが、人材育成を成功させるカギ

中長期的な視点で、戦略的に人材育成を進めていくために必要な目的や目標、方針は、自社が求める人物像や人材育成を通して解決・獲得したいことを具体的にイメージできれば、自然と見えるようになってきます。

どのような企業にも、経営理念や経営ビジョン、達成したいミッションなどはあるはずです。
人材育成への注力の仕方がわからない、自社に最適な人材育成プランが見えてこないという時は、まず人事理念をもとに自社が求める人物像をイメージするところから始めてみましょう。

なお、もしも自社の人材育成を成功させるために、経営者・管理職みんなで人材育成に関する考え方を学び直したいとお考えの場合は、社員さんのキャリア開発を支援することの意義や具体的な手法について学べる日創研の「キャリア開発支援セミナー」の活用がおすすめです。

人材育成を通して社員の能力開発を行い、自社で働く個人とともに組織全体として成長していきたいとお考えの経営者の方は、ぜひ日創研の「キャリア開発支援セミナー」の受講をご検討の上、お気軽にご相談ください。

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