2025.01.20

代表的な人材育成手法12選を一覧で紹介!それぞれの特徴や活用のコツまで徹底解説

代表的な人材育成手法12選を一覧で紹介!それぞれの特徴や活用のコツまで徹底解説

企業や団体が事業を通してお客様と社会に貢献できる、また永続的に成長できる組織であり続けるためには、最も大切な経営資源の一つである「人」の育成に注力しなければなりません。

そして人材育成を成功させるためには、たくさんの選択肢の中から自社の現状や問題・課題に合う手法を選び、それらをうまく組み合わせて施策を策定・実行していく必要があるのです。

そこで今回は、全国に14,000社以上もの会員企業様を抱え、さまざまな中小企業の経営や人材育成をサポートしてきた日創研が、人材育成の代表的な手法を一覧にして紹介していきます。

また併せて、それぞれの人材育成手法のメリット・デメリットや特徴、階層別の活用のコツについても解説していきますので、人材育成の手法や自社に合う種類の選び方がわからずお悩みの経営者の方は、ぜひ参考にご覧ください。

人材育成に使われる手法とは?代表的な12種類の一覧

人材育成の現場で用いられることが多い代表的な手法としては、以下の12種類が挙げられます。

  1. OJT(On the Job Training)
  2. OFF-JT(Off the Job Training)
  3. eラーニング
  4. ジョブローテーション
  5. 自己啓発支援(SD)
  6. 目標管理制度(MBO)
  7. 1on1ミーティング
  8. コーチング
  9. ストレッチアサインメント
  10. メンター制度
  11. モデリング
  12. リフレクション

詳しくは後述しますが、上記の手法はいずれも手順や目的、効果的な育成対象の層などが異なるため、一つひとつの効果は限定的です。そのため多くの企業では、これらの代表的な手法を複数導入し、状況に応じて使い分けたり、組み合わせたりしながら人材育成を行っています。

人材育成を成功させるには、自社の状況に応じて育成手法を適切に使い分けること、またそれができるように代表的な手法の特徴やメリット・デメリットについて、正しく把握しておく必要があると理解しておきましょう。

人材育成の各手法のメリット・デメリットは?一覧で紹介

人材育成の各手法のメリット・デメリットは?一覧で紹介

ここからは、代表的な12種類の育成手法の特徴とメリット・デメリットについて順に説明していきます。自社の人材育成に導入する手法を選んだり、手法の組み合わせを考える上での参考として、ぜひひと通りご確認ください。

人材育成手法「OJT」のメリット・デメリット一覧

OJTとは、まず育成担当者が業務をやって見せ、説明をした上で育成対象者にも挑戦してもらうという人材育成手法のことです。こうして成功体験やフィードバックを段階的に積み重ねることにより、スキルを定着させていきます。

職場内訓練とも呼ばれるもので、特に業界・職種未経験の新入社員、若手社員に有効とされている他、現場の負担を軽減しながら人材育成に取り組める手法として、さまざまな企業で導入されています。

なお人材育成におけるOJTのメリット・デメリットについては、以下の一覧の通りです。

メリット
  • 通常業務の中で効率よく、実務に直結する実践的なスキルを身に着けられる
  • 教えることを通して、育成担当者の成長や気づきも促せる
  • 育成のプロセスを通して、上司と部下の信頼関係を深めることができる
デメリット
  • 育成担当者への負担が大きく、通常業務が多忙になると継続できなくなる
  • 育成担当者の人材育成スキル、意欲により成果にばらつきが出やすい
  • 人によって伝えている内容が違うこともあるため、標準化がしにくい

【関連記事】ビジネス用語「OJT」の意味とは?OFF-JTとの違いと一緒に日創研が解説!

人材育成手法「OFF-JT」のメリット・デメリット一覧

OFF-JTとは、現場を離れて社内や社外で開催される研修、セミナー、講習会、見学会等で学ぶ手法のことで、職場外訓練とも呼ばれています。OJTとともに非常に有名な人材育成手法の一つであり、組織の目標や育成対象者の階層などによって学習内容を調整しやすいのが特徴です。

また、他の育成手法に比べると具体的なイメージが湧きやすく、導入のハードルが低い手法だとも言われていますが、実施によるメリット・デメリットはしっかり確認しておきましょう。

メリット
  • 通常業務から離れるため学びに集中でき、多くの知識を体系的にインプットできる
  • 育成対象に合わせた学習内容の設定がしやすく、幅広い階層に実施できる
  • 現場から離れて学習することで、自社を客観的に把握できるようになる
デメリット
  • 通常業務から離れるため、他の従業員に時間的、精神的な負担がかかる
  • 知識の習得のみに終わり、実践につながらない場合がある
  • セミナーの開催や参加、外部から講師等を招くための費用がかかる

人材育成手法「eラーニング」のメリット・デメリット一覧

オンライン学習ツールを使って人材育成を行うeラーニングの最大の特徴は、インターネット環境さえあれば、いつでもどこでも学習機会を提供できるところでしょう。そんなeラーニングを人材育成に導入するメリット・デメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

メリット
  • 学習ツールとコンテンツさえ用意できれば、少ない時間的・人的負担で実施できる
  • 育成担当者のスキルに頼らない手法であるため、教育の内容や質を均一化しやすい
  • 育成対象者が自分のペースで学習できる
デメリット
  • 教材の制作に一定のコストと時間が必要
  • ネット環境やある程度のITリテラシーがないと活用できない
  • 実技の習得には向かない場合がある

人材育成手法「ジョブローテーション」のメリット・デメリット一覧

社員に他部署や他部門、他のポジションでの経験を積ませることなどを目的として計画的に行う異動、配置転換のことをジョブローテーションと呼びます。終身雇用を前提とした日本特有の手法とされるジョブローテーションのメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 各社員の適性の見極め、適材適所の配置に役立つ
  • 社員の離職率の低下、定着率の向上にも効果的
  • 業務を多面的に見られるようになる上、部署同士の連携強化にもつながりやすい
デメリット
  • 社員の希望に合わない配置をした場合、離職の原因になってしまうことがある
  • 一時的な業務レベルの低下、効率の低下を招く恐れがある
  • 時間がかかる手法のため、特定の分野に特化した人材の育成には向いていない

人材育成手法「自己啓発支援」のメリット・デメリット一覧

自身のキャリアアップやスキルアップのために社員が自主的に学習することを自己啓発、またこれを企業側が金銭的・時間的にサポートする育成手法のことを自己啓発支援と言います。

そんな自己啓発、自己啓発支援による人材育成のメリット・デメリットは、以下の通りです。

メリット
  • 業務外に学習する手法であるため、実務に支障をきたさない
  • 学習する上での自由度、モチベーションが高くなりやすい
  • 育成対象者本人が学習内容を決定するため、知識やスキルが定着しやすい
デメリット
  • 本人の意欲により、成果が大きく左右される
  • 学習した内容が、業務や組織の利益に直結しないこともある
  • 育成対象者に時間的、金銭的な負担が生じるため、モチベーションの維持が難しい

人材育成手法「目標管理制度」のメリット・デメリット一覧

会社が組織全体として定めた目標・方針をもとに社員自らが主体となって個別目標を設定し、上司や管理職と一緒に達成を目指す仕組みのこと、また目標の達成度合いを人事評価の基準の一つとする制度や考え方のことを、目標管理制度(MBO)と言います。

幅広い階層の人材育成に活用できる目標管理制度は、非常に便利な手法の一つです。以下の一覧でメリット・デメリットの両方を確認して、自社への導入可否を検討すると良いでしょう。

メリット
  • 社員本人が目標を設定するため、組織人としての自覚や達成意欲の向上が期待できる
  • 目標の設定と管理、達成の一連の流れを経験することにより、自己効力感が高まる
  • 上司と部下が目標を共有できるため、計画的かつ組織的な人材育成がしやすくなる
デメリット
  • 部署や業務内容によっては、適切な目標設定が困難な場合がある
  • 個別目標の内容や達成難易度に個人差が大きくなるため、評価が難しくなる
  • 目標達成にこだわり過ぎると、成長への意欲が低下してしまうことがある

【関連記事】人材育成において目標は重要?設定方法や具体例をはじめ数値化・達成のポイントも紹介

人材育成手法「1on1ミーティング」のメリット・デメリット一覧

一般的に個人面談は、トラブルが起きた時や進捗確認等のために行われるケースが多いですが、1on1ミーティングは上司と部下がお互いを深く知ること、また部下の成長プランを立てることを目的として週に1回、または月に1回程度の短い間隔で定期的に行われるのが特徴です。

そのため1on1ミーティングには、以下のようなメリット・デメリットがあると考えられます。

メリット
  • 上司と部下のコミュニケーションが円滑になる
  • 部下から上司に向けた相談がしやすくなる
  • 上司は、部下のことを知る機会を得られる
デメリット
  • 手段の目的化が起こり、面談時間がただの会話や相談だけで終わってしまう恐れがある
  • 上司の人材育成スキルにより、成果が左右される
  • 上司が多忙だと面談時間の確保が難しくなり、過度な負担がかかってしまう

【関連記事】人材育成をする人に求められるスキルを解説|育成の成功に必要なこととは?

人材育成手法「コーチング」のメリット・デメリット一覧

教えたいことを直接伝えるのではなく、育成対象者の主体性・自律性に重きを置き、効果的な質問や対話を通して気づきと成長を促す会話術、育成手法のことをコーチングと言います。

そんなコーチングを、自社の人材育成に取り入れるメリット・デメリットとしては、それぞれ以下が挙げられるでしょう。

メリット
  • 育成対象者の主体性の向上に役立つ
  • 育成対象者の学習意欲を高める効果が期待できる
  • 育成対象者の個性、能力を引き出せることがある
デメリット
  • 原則1対1で行われる手法のため、実施に時間がかかる
  • 育成担当者にコーチングスキルがなければ実施できない
  • すぐに効果を実感できる手法ではないため、育成対象者の成長が見えにくい

人材育成手法「ストレッチアサインメント」のメリット・デメリット一覧

育成対象者に対し、あえて難易度の高い業務を割り当てることで能力開発や人材育成を図るストレッチアサインメントは、業務の内容や難易度を変更してさまざまな階層に実施されます。

うまくいけば、人材育成において高い効果を発揮する手法ですが、一方で運用には難しい部分もありますので、以下の一覧表でメリット・デメリットをしっかりと把握しておきましょう。

メリット
  • 育成対象者の自信、仕事のやりがいの他、成長意欲の獲得や向上にも役立つ
  • 業務に関する全般的なスキル、知識を高めることができる
  • 人材を早期に育成することができる
デメリット
  • 業務難易度の見極めが非常に難しい
  • 育成対象者の能力を的確に見極められなければ、逆効果になってしまうこともある
  • モチベーションの低下や挫折を招き、離職のきっかけになってしまうことも

人材育成手法「メンター制度」のメリット・デメリット一覧

メンター制度とは、先輩社員であるメンターが後輩であるメンティーの相談に乗るとともに、自身の経験や問題解決のノウハウを伝えるなどして精神的にフォローする手法のことです。

なおメンティーからの相談内容は、仕事はもちろんプライベートなことまで、多岐にわたると想定されています。そのためメンターは、メンティーとは業務上の利害関係や上下関係のない他部署・他部門の先輩社員を割り当てるのが一般的です。

特に、仕事やキャリアに関する悩みや不安を抱えやすい新入社員、若手社員に有効とされるメンター制度のメリット・デメリットとしては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

メリット
  • メンティーが悩みを抱えにくくなり、自身の業務に集中できるようになる
  • 若手社員の離職率の低下、定着率向上にも役立つ
  • メンター側の人材育成スキル向上効果も期待できる
デメリット
  • メンティーとメンターの選定、組み合わせが難しい
  • メンターのスキルにより、成果が左右される
  • メンターに過度な負担がかかってしまうことがある

人材育成手法「モデリング」のメリット・デメリット一覧

自身にとってロールモデルとなる社員、または企業が社員にモデルとしてほしいと考えた人を意識的に観察し、真似することで学習と成長を促す育成手法をモデリングと言います。別名「観察学習」とも呼ばれるモデリングのメリット・デメリットは、以下の一覧の通りです。

メリット
  • モデルとなる社員に自身の強みを自覚させ、自信を持たせることができる
  • モデルを基準に人材育成を進められるようになるため、教育内容のばらつきを減らせる
  • 動画を利用したモデリングを実施すれば、効率よく人材育成を進められる
デメリット
  • 社員数が少ない中小企業の場合、モデルの設定がうまくいかない場合がある
  • モデルの悪いところ、改善すべきところも模倣されてしまうことがある
  • 社員が個性を発揮できなくなる恐れがある

モデリングにも使える!動画で効率よく人材育成するならGrowth College(グロースカレッジ)

人材育成手法「リフレクション」のメリット・デメリット一覧

過去の日報などを使って自身のこれまでのキャリア、経験を自己視点で振り返り、評価するべきところや反省点、改善点などについて学ぶ人材育成の手法をリフレクションと言います。

特に、ある程度のキャリアを積んできた中堅社員以上の階層に効果的とされるリフレクションを行うメリット・デメリットとしては、それぞれ以下のようなものが挙げられるでしょう。

メリット
  • 客観的分析力、理解力が高まり、チームリーダーに求められるスキルの向上に役立つ
  • 社員の自主性や主体性の向上、自律型人材の育成に効果的
  • 仕事で失敗しても、ネガティブな感情や記憶に支配されにくくなる
デメリット
  • 反省点だけに注目してしまい、モチベーション低下を招く恐れがある
  • 外部環境や感情に注目すると、自分の思考や行動を改善するためのヒントを得られない
  • 社員の性格や思考方法によっては、リフレクション自体がマイナスに働くことがある

【階層別】人材育成に各手法を活用する際のポイントまとめ

【階層別】人材育成に各手法を活用する際のポイントまとめ

人材育成のために取り入れるべき手法は、会社全体の状況や問題・課題の他、育成対象者の階層によっても大きく異なります。

そこで以下からは、新入社員または若手社員・中堅社員・管理職または経営幹部の階層別に、複数の育成手法を効果的に組み合わせて活用するためのコツについて、一覧にして紹介していきます。

こちらも、自社の人材育成に導入する手法を選ぶ際の参考として、ぜひご確認ください。

新入社員・若手社員の場合
  • 教育も大事だが、先輩や上司と信頼関係を築くためのコミュニケーションも重視する
  • 仕事の基本的な手順だけでなく、その意味や目的についても一緒に伝える
中堅社員の場合
  • 将来の自分のビジョン、キャリアプランについて主体的に考える機会を与える
  • マネジメント経験を積ませたり、リーダーシップを発揮する機会を用意する
  • 新たな分野、立場にチャレンジしてもらう
管理職・経営幹部の場合
  • 会社、組織の根幹を担う立場であることを自覚させる働きかけを行う
  • 責任を果たすこと、結果を出すことを明確に求めていく

なお、人材育成の手法の選び方に迷ったら、参考として他社における人材育成の成功事例をチェックするのもおすすめです。

人材育成成功のために、各種手法を正しく理解しておこう

人材育成成功のために、各種手法を正しく理解しておこう

人材育成の手法には、業務に関する情報を直接教える・伝える方法の他、社員の自発的な取り組みを支援するもの、上司と部下の信頼関係を深めるためのもの、自身や他者の功績・経験から学ぶものまで、実にさまざまな種類があります。

各種の手法を適切に使い分け、人材育成を成功させるには、育成担当者側がそれぞれの目的や効果について正しく理解していなければなりません。これから人材育成に注力していきたいと考えているなら、その第一歩として、まずは育成手法について学んでみると良いでしょう。

なお日創研では、人材育成に大幅な時間的・人的コストが割けない中小企業に向けて、日々のやり取りの中で部下の潜在能力や創造性、自主性を引き出すコミュニケーションの取り方を学んでいただける「企業内マネジメントコーチング1日セミナー」を開催しています。

「人材育成手法のうち、特にコーチングに興味がある」「まずは少ない時間で学べる、実践できる手法を身に着けたい」という経営者の方、育成担当者の方は、ぜひ日創研の「企業内マネジメントコーチング1日セミナー」の受講をご検討の上、お気軽にご相談ください。

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